1997年頃からフィルム一眼レフカメラから写真を始め、2002年頃にデジタル一眼レフカメラに移行。
自然奏フォト名古屋に所属。辰野清氏、栄馬智太郎氏に師事。
風景写真をメインとしながらもいろいろな写真を幅広く撮影しています。
信州・長野をはじめ東海地方、伊豆諸島などのさまざまな美しい自然風景の一瞬の出会いを心残る一枚に心がけて撮影しています。
写真・文 / 八木千賀子(東京カメラ部)
2月のオーストラリアは、うだるような暑さでした。ピリッとした寒気をまとったまま、羽田空港から赤道を越えてシドニー空港に到着したわたしは、冬の日本とは真反対の空気感に驚きつつ、ついに南半球に足を踏み入れたことにとても興奮していました。
オーストラリア。
どこまでも広がる大地や、夕焼けで滲む稜線、澄み切ったブルーの海など、雄大な自然とその寛容さに想いを馳せながら、一度は訪れてみたいと思っていた場所に、ついにやってきた。それも、プロのフォトグラファーとして。到着しただけなのに、ある種の達成感すら感じていたことをよく覚えています。
2016年に勤めていた会社を退職し、フォトグラファーとして独立してからというもの、わたしは常に、一人前のフォトグラファーとして食べていけるのかという不安と戦ってきました。ありがたいことに、2013年に東京カメラ部で10選に選んでいただいてからというもの、国内外を問わずこうした撮影の機会をいただくことは多かったけれど、ずっと行きたいと思っていたオーストラリアに撮影のお仕事で行けるというお話を頂いたとき、フォトグラファーとしては遅咲きとも言えるわたしのキャリアは、確実に前進しているなと感じることができてうれしくなりました。
そんな憧れの地、オーストラリアでのわたしの目的地は二つ。オーストラリア最大の都市シドニーと、ハンター・バレーというワインで有名な地域です。言わずと知れたオペラハウスやハーバー・ブリッジなどの大都会らしいランドマークたちと、ぶどう畑がみずみずしいワイナリーやカントリーハウスなど郊外らしい風景を作品として切り取るために、私が持ち込んだ機材は、ボディ2台、レンズ6本、ストロボ、三脚など、全部で12キロほどでした。
シドニーは、わくわくした気持ちを抑えきれない無邪気なわたしを、洗練された喧騒で迎え入れてくれました。ちょうど春節のお祝いということもあってか、さまざまな人種が入り乱れてせわしなく行き交います。
有名な撮影スポットであるミセズ・マッコーリーズ・ポイントにすぐに向かい、オペラハウスとハーバー・ブリッジに挟まれたシドニー湾の眺めを堪能しました。こうした撮影旅行の際には、事前にオンラインで情報収集をして、撮影スポットをある程度絞ることが多いのですが、街の雰囲気を肌で感じながら撮影することもわたしの作品づくりには大切なことなので、サーキュラー・キーを通ってオペラハウスを横目に歩き、行き当たりばったりな感覚も楽しみながら街の風景を撮影しました。
翌日は早起きして、シドニーから車で2時間ほどのハンター・バレーです。世界でも有数のワインの生産地は、秋の入り口にさしかかっているはずなのに、地元のワイナリーの方もめずらしいと言うくらい、まとわりつくような湿気であふれていました。ぶどう畑が山間一面に広がる、ハンター・バレーらしい景色を探していたら、ちょうど日が沈みだして光が輝いていたので、こんなすてきな作品も撮影することができました。
ハンター・バレーは、バリエーション豊かな地形のおかげで、フォトグラファーにとっては風景の見本市のようなところです。今回は、朝焼け、夕焼け、夜空の他に、夕立や虹、雷も撮影することができて、本当に運がよかった。風景を撮影するとき、天候はとても重要な要素です。わたしは今回、オンラインで天候や日照時間を調べただけでなく、アメリカン・エキスプレス®・ゴールド・カードについている「オーバーシーズ・アシスト」に電話して、撮影エリアの情報を聞きました。海外にいるのに、日本語でサービスを受けられるので非常に便利です。
予備日も含めて、ハンター・バレーには5日間滞在しました。風景だけでなく、道中は暑さと真正面から向き合いながら、おそるおそる野生のカンガルーに近づいてみたり、蚊に刺されるのを我慢しながら雷を待ったり、本当にいろいろなことがありました。わたしの期待を遥かに超えて、日によってさまざまな表情を見せてくれたこのワインの名産地は、撮影をしに行くのにも、おいしいワインをいただくのにも、本当にオススメです。
後ろ髪を引かれる思いで、最終日はシドニー空港から帰路につきました。旅の始まりでもあり、終わりでもある空港という場所には、数え切れないドラマがあります。到着口で待ち人を抱きしめる人たちの背中からは、言葉では表し切れない喜びが伝わってきました。羽田空港からは、アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードの手荷物宅配サービスを利用して、撮影機材以外のスーツケーツを一つ自宅に送りました。荷物が多くなりがちなフォトグラファーにとっては、本当にありがたいサービスです。
今回の撮影旅行は、プロのフォトグラファーとして目標としていた場所で撮影できた記念すべきものでした。2017年度が、みなさんにとっても夢の叶う年であることを願っています。そして記念の旅行には、ぜひアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードをパートナーとしてお出かけください。